悪貨は良貨を駆除する

【本】
■『Deep Love』[著]Ｙｏｓｈｉ
ケータイ小説というジャンルの金字塔であり先駆者である本著。
シリーズ累計250万部をうりあげた、すばらしく面白い本です。
そういえば、続編がまた映画になるそうです。早くみたいですね。

この本は、深遠なテーマを、
わかり易い文章と、会話や口語を主とした、
スピーディーな文体で表しているのが特徴的です。

「病」、「友愛」、「死への恐怖」、「売春」、「親子関係」など、
人類が古来より関っていた事柄を、いわば神話的構造で書かれていることも、
特筆すべき点であります。

また、元々、携帯サイトで掲載されていたものの書籍化であるため、
携帯電話の画面上と同じく横書きで書かれているのも独創的です。

『Deep Love』[著]Ｙｏｓｈｉの文章

「ギャ！グッワ！待ってくれ！待ってくれ！」
オヤジは、叫んだ。
「許してくれよ！入れたかっただけなんだから」
「バキッ！ボコッ！」
ケンはかまわず殴り続ける。
「ヒッー！助けてー！助けてー！」
オヤジが悲鳴に近い叫び声をあげた。
「お前みたいな奴がいるからいけないんだ！」
ケンが叫びながら殴り続ける。
「ギャー」
オヤジの血があたりに飛び散った。ケンのコブシも血で染まっている。
「世の中！狂ってんだよ！狂ってんだよ！」
ケンの形相は、もうフツウではなかった。その様子を見ていた、ミクも従業員も
言葉を失ってしまっていた。思わずミクが言った。
「店長！それ以上やったら死んじゃう！」
「ガッシ！ボカ！」
ケンには、まったく聞こえていない。オヤジも失神したのか動かなくなった。
「キャー、やめて！」
ミクが叫んだ。
「あっ……はい」
従業員が後ろからケンを押さえた。